今、零細書店にできること ~書店倒産急増のニュースをみて考えた~

この記事の所要時間は約 4 分 です。

2016年の書店倒産急増

東京商工リサーチによると、2016年に倒産した書店は25件と前年比1.5倍に急増した。家族経営など小規模事業者の苦境が特に目立った。「ネットメディア浸透やオンライン販売、電子書籍の普及など市場環境が大きく変化し、書店経営の苦境を反映した」とみている。

書店の倒産急増 16年は前年の1.5倍に 小規模事業者の苦境際立つ」より

2016年の書店倒産のニュースだ。前年比1.5倍というと、日本中の書店が倒産しているかのような印象を受けるが、実数にすると25件ということで、日本全国に何店舗の書店があるのかを確認しなければ、実際のところ、どこまで苦境に立たされているのかを測る事はできない。

過去の推移をみると、2009年と2010年には、それぞれ31店舗ずつの書店が倒産しており、2016年の数値は、その時と比較すると少ない。

他社倒産の余波の問題

書店の倒産は、他社倒産の余波を受けての倒産が起こることも特徴で、2016年には、芳林堂書店の破産をきっかけに中堅取次会社が倒れ、そこから連鎖的に書店の倒産が相次いだようだ。

帝国データバンクと東京商工リサーチによると、出版取次中堅の太洋社が3月15日、東京地裁に自己破産を申請し、同日、破産開始手続き開始決定を受けた。2月に自主廃業を検討する方針を明らかにしていたが、芳林堂書店の破産なども響き、自主廃業を断念した。

取次中堅の太洋社、破産決定 芳林堂書店の倒産で8億円焦げ付き」より

太洋社の倒産の影響は、下記のような感じ。

太洋社は、2月5日に自主廃業に向けた動きに入ると発表。その時点で約300法人・800店舗の書店と取引していた。

東京商工リサーチによると、太洋社の動きに連鎖して閉鎖・休業を発表した書店は、茨城県つくば市の友朋堂書店、鹿児島市のひょうたん書店、さいたま市の愛書堂書店、北九州市のアミ書店など14社16店舗。複数店舗を運営していたのは友朋堂書店のみで、残りの13社は1店舗のみの零細事業者だった。

太洋社に連鎖、書店14社が休廃業 東京商工リサーチ調査」より

やはり零細の方が影響を受けやすいというところか。この一連の影響の元をたどると、芳林堂書店の破産がきっかけとなっているのが恐ろしい。ひとつの書店の経営悪化が大きく波及するのは、取次という流通の形態も影響している気がする。

先の記事に述べられている書店の倒産増加の理由にネット書店の台頭を直接的な原因であるという論は、根拠が薄い。もちろん、間接的な影響はあるのだろうけれど。

私の周囲の話で言うと、電子書籍の利用者は増えている気がするが、日本全国でみると、紙媒体を脅かすところまでは進んでいないのではないか、という気もする。

零細書店ができること

零細の書店の中には、収益とキャッシュフローの区別が曖昧な経営をしている店舗もなるのではないか、と想像している。この区別をつけた経営をしていれば、取次店の破綻の影響を受けた連鎖倒産のような事態は、もっと少なくなるのではないか、と思う。

まず、第一に、この数字をしっかりと追うことが大事なのではないか、と考えた。

また、小規模な店舗が生き残っていく上では、いくつかの成功例があるので、それを参考にしてみるとよいのではないか、と思う。

例えば、ヴィレッジバンガードのように、「本ではない商品」も提供する……という生存戦略だ。書店らしからぬ店構えになるかもしれないが、業としては成り立つはずだ。

他にも、専門店化……という選択肢もある。「音楽に関する書籍であれば、○○書店に行こう」「ミリタリーであれば、○○書房だ」という認知のされ方をすれば、専門書店として生き残っていくことができそうだ。新刊専門の書店ではなく、古本屋になるが、将棋・囲碁の書籍を専門に扱うアカシヤ書店なども、しっかりとビジネスになってそうだ。

駅近や駅中にない書店は、まず、そこに立ち寄ってもらうための理由を作らなければ成り立たず、その理由のひとつが、例えば、専門店化することによるブランド強化だろう。

まとめ……というか、個人的な感想

個人的には、マニアックなテーマの書店が増えてもらった方が立ち寄る愉しみは増えるのだが、あまりにニッチ過ぎるのは、そもそも市場が小さすぎて成り立たない。ほどほどな専門テーマを見つけるのが大事だ。

あまりに、ニッチなテーマは、ネット書店に任せればよい。

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