- 人類の発展に地域差があるのは、住民の能力の差ではない!
- 大陸の形をはじめとする環境の差が影響している
- 科学的な分析に基づいた論説が知的好奇心を刺激する
定番中の定番だが……
定番中の定番で今更これを紹介するのか?という感じもしなくもないが、読んだ時に受けた衝撃の大きさでは、私にとって、5本の指に入るのが、この『銃・病原菌・鉄』だ。これは、本気でお薦めなので、避けて通るわけにはいかない。
いや、『銃・病原菌・鉄』は、とんでもない本だ。
読めば、目から鱗がぽろぽろと落ちるのは間違いない。
未読の方がいたら、なにが何でも読むべし!と断言しておく。
文明を発達させる要因は何か?大陸の形!?
この本のテーマは、文明を発達させる要因が何であるのか?という疑問だ。
アフリカ大陸・南北アメリカ大陸・オーストラリア大陸・ニューギニアなどに比べて、なぜ、ユーラシア大陸の方が先に文明が発達したのか?それは古代のヨーロッパ人が同時代のその他の地域の民族よりも知能に優れていたからではないか?そんな知能に原因があるとする言説を著者ジャレド・ダイヤモンドは明確に否定する。
では、文明の発達に差がついた要因は他にあるのか?
この謎を解き明かしていく過程は、あなたの知的好奇心を刺激してくれるに違いない。これは、実際に『銃・病原菌・鉄』を読んで、ジャレド・ダイヤモンドの主張を味わって欲しいと思うが、せめて書評らしく、本書の雰囲気を伝えるためにも、ひとつだけ例に出しておこう。
この記事のタイトルにもした「大陸が南北に長いか、東西に長いか」という相違点が、実は、文明の発達に大きな影響を及ぼしているのだ。文明の発達が早かったヨーロッパが東西に長いのに対して、それに遅れたアフリカ大陸や南アメリカ大陸は、南北に長い。
つまり、大陸が東西に長いと、同じ気候帯の地域が続くため、同じ穀物が育ちやすく、結果、陸路の交易路が発達したりするというのが、著者の主張だ。それに対し、南北に長いと、気候帯が分断されてしまうため、この恩恵に与ることができないわけだ。
ほら!目から鱗が落ちませんか?
未読な人には、何が何でもお薦めしたい一冊である。
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