極限生物から生命の本質に迫る『死なないやつら』

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死なないやつら (ブルーバックス)

評価:4.0 (★★★★☆)

  • 扱っているテーマは難解でも読みやすい
  • 知的好奇心を刺激するような驚くべき極限生物の紹介
  • 生命をテーマにしたユニークな論説

ブルーバックスにしては、読みやすい

科学系の新書といえば、間違いなくブルーバックスを思い浮かべる人が多いと思うが、薄い新書とは言え、それなりに読み堪えがある本が多い印象だ。少なくとも、科学については、門外漢である私にとっては、難解に感じるものが多かった。

だが、『死なないやつら』は、そんなブルーバックス新書の中において、読みやすく、このキャッチーさは、本書の長所だろう。

生命学の探求

著者である長沼毅氏は、広島大学の生物海洋学の教授で、生物学者を志した理由は、「生命とはなにか」を考えたかったからだと述べている。この本は、「自分が追究したかったのは、生物学ではなく、『生命学』だったのではないか?」と嘯く長沼氏による「生命学」についての著作なわけだ。

そんな長沼氏の「生命とはなにか」という疑問に少なからず共感を覚える読者であれば、第1章から引き込まれること、請け合いであり、その第1章のタイトルが「『生命とはな何か』とは何か」ということで、生命の正体を知るためのこの本のテーマについて、しっかりと考えさせてくれる。

知的好奇心が刺激される文章

その後、生命とは何かを探るべく、様々な生命の話が紹介されるが、とにかく、極限の環境下でも生存できる微生物の話など、好奇心が刺激される。高温に耐えられる生物、高圧に耐える生物など、こんな生き物がいたのか!とページをめくる手が止まらなくなる。

生命の誕生には、「水」の存在が不可欠とも言われているが、そんな常識に挑戦する「油の星に生命は存在するか」というテーマや、進化について解説する章で書かれる「アメリカン・フットボールも突然変異で進化した」など、ユニークな論説が多い。

まとめ

もともとは、極限生物の博物学のようなテーマの本に仕上がる予定の企画だったそうだが、「生命とはなにか」という疑問に捉われた長沼氏の手にかかり、気がつくと「生命に関する論説集」のようなものになったようだ。

極限生物が紹介される2章の面白さに惹かれた私としては、まるごと1冊「極限生物」に関して記述されている本も読んでみたくなるわけだが、そこは次の著作に期待することとして、長沼氏の「生命学」のユニークな論説集を堪能したい。

知的好奇心を刺激されたい方は、ぜひ、手にとって欲しい。