SFの姿を借りた壮大なラブストーリー(『星屑ニーナ』の幸せな世界)

この記事の所要時間は約 4 分 です。

『星屑ニーナ』は、間違いなく、スゴい漫画だ。

何がスゴいかは、なかなか説明が難しいのだが……。

まずは、出版社から出されている紹介文を引用してしまおう。

星屑(ほしくず)クンはヒトではなく、ロボット。ニーナは可憐な女子高生。ふたりは出会い、そして、一緒に暮らした。この世界は不思議がいっぱい! 宇宙から降る雷魚、会話するサルの玩具、当たった3億円の宝くじ、そして、過ぎ行く時間。1年後、5年後、10年後。ロボットは歳を取らないが、人間はあっという間に老いていく。物語は、神の速度で、未来へと進んでいく!

SFといえばSFなのだが、なんというか、カテゴライズが難しい漫画だ。

SFのように見えて、その本質は、ロボットである星屑の成長譚であり、成長し続ける星屑がニーナのことを想い続けるラブストーリーであると思う。

星屑とニーナが出会いとその後(物語の序盤)

星屑ニーナ 1巻<星屑ニーナ> (ビームコミックス(ハルタ))

「第1回 前世」は、星屑の話。ニーナに出会うに至るまでの星屑の行動を追う感じで話が進むが、電池容量がなくなると活動停止してしまう星屑が、電池を調達しながら、自分の主人となってくれる人間を探すのがストーリーだ。ロボットであるが故に人間から不当に扱われる星屑が淡々と描かれる。

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「第2回 天国か地獄」は、ニーナの話。

同級生から告白されて、ただ「ステキね」と返すニーナ。

「それは付き合ってもいいという返事?」と聞かれて、「それは、いま、考え中」と返すニーナの精神構造は、どうも普通の女子高生のそれとは違うようだ。

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外見は可愛らしいが、その魅力は、このユニークな中身にある。宇宙雷魚を巡るトラブルの結果として、ゴミ捨て場に捨てられている星屑のところに辿り着くまでが、描かれる。

というわけで、第3回から星屑とニーナの交流が描かれていくわけだが、紹介文の煽りにあったように、物語はものすごいスピードで未来へと進んでいく。

なんと第7回には、主人公の片割れであるニーナが亡くなり、物語から退場。その後の話は、ニーナの思い出を抱えて生きていく(?)星屑の物語になる。(もっとも、ロボットに「生きていく」という表現が合うのかどうかは分からないが)

星屑ニーナのスピード感

星屑ニーナ 2巻 (ビームコミックス)

「物語は、神の速度で、未来へと進んでいく!」というのは、この物語の本質をついていて、第1巻で女子高生として登場した主人公のニーナが、第1巻の終盤では老衰で亡くなってお墓に入っているというスピード感はすさまじい。

2巻以降では、一千年単位でのタイムスキップもあるわけで、詳細はネタバレになりそうなので、紹介できないのが残念だが、SF的な世界観も堪能できる。

ニーナの魅力と多幸感に溢れるエンディング

この物語のストーリーはさることながら、『星屑ニーナ』を魅力的なものにしているのは、やはり、ニーナの存在だろう。

いちいち、台詞がカッコいいのだ。

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(「ヒトは何故、眠るのですか?」と問われ)

「夢のつづきをみるためよ」

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「一生を棒にふるくらい面白いことをやるの。退屈は敵ッ」

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「ひとりでいて寂しい時はあるけど、ふたりでいて寂しい時だってあるよ」

星屑がニーナのことを思い続けた結果、ロボットであった星屑にどのような変化が起きるのか、というところも心を打つ。

「ボクにとって好きというのは、そのヒトのことを毎日考えることです」

「ボクはニーナさんのことを、3万7千6百27日間、考えてきました」

これは、最強の殺し文句じゃないか。

最後の数十ページは、よい意味でのご都合主義というか、幸せな気持ちに浸れる素晴らしいエンディングなので、これもぜひ読んでみて欲しい。

読んで優しい気持ちになれる物語なので、未読の方は、是非!

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