『今だから語れる、会社に勤めながらにして家具屋を創業した話』というエントリーを書いたが、この記事内では、実際に、家具のECサイトを立ち上げるところまでの流れは書ききれなかった。
今回は、その続きということで、一歩踏み出した結果、どのようなことになったかについて、書いてみたい。

一歩踏み出した結果、起きたこと
とりあえず、家具メーカーから言われた「個人事業の方との取引は、手間がかかる」という事情は理解できる。
どのくらいの商品を捌ける能力があるのかも分からず、かつ、実績もない……そんな個人事業主がすんなりとメーカーと直取引できたら、逆にびっくりする。
とはいえ、年商10億という条件に出されてしまうと、すんなりと……どころか、よほど成功してからでないと、取引条件を満たすことはできなさそうだ。そもそも、小売業を開業する人たちは、どうやって仕入れ先を確保しているのであろうか。
こちらの状況を客観的に考えると、丁寧に取引条件を教えてくれたその担当者の対応は、かなり親切なものだったと思う。
しかし、条件が満たせないことには変わりはない。
ここで引き下がってしまっては、前に進めない。
前に進むために、口に出してみた言葉はこうだ。
「それでも、御社の製品に魅力を感じているので、なんとか扱う方法はないですか?」
自社製品に熱意を示されては、製造メーカーとしても、無下にはできないだろう……という計算もあった。
「それなら……」ということで、個人事業主とも取引がある卸売業者を紹介してもらうこととなった。
実際に卸売業者とのやり取りが始まると、当初は思ってもみなかったメリットがあった。
「あのメーカー以外にも、こういう商品を取り扱っているのですが、検討してみませんか?」
ということで、他の製造メーカーのカタログも送ってくれたのだ。
流通業界における意味のない「中抜き」だと思われがちな卸売業者ではあるが、そこには、ちゃんとした存在価値があった。
卸売業者がいなければ、小売業者は、ひとつひとつのメーカーとの販路を開拓していかねばならず、その道はかなり険しいはずだ。物事の仕組みをひとつ理解できた瞬間だった。
ECサイトの構築
ECサイトの構築そのものはそこまで難しくはなかった。
オープンソースのECサイト構築ソフトウェアをいくつか比べてみる。候補は、ZenCartとECCubeだ。
子供服のショップを経営している同僚は、ECCubeを使っていたが、利益シェア条件でエンジニアを雇い、かなりのカスタマイズを入れている様子だった。
販促のことを考えるとポイント制度やクーポンに対応されている方がよいだろうと思い、大きなカスタマイズなく、思ったことが実現できそうなZenCartを選定する。ウェブサーバは、お名前.comのレンタルサーバを使用する。
サイトの構築自体は、それなりにスムーズだった。
利用規約や個人情報保護方針などは、同業の他ショップのものを10個から20個ほどダウンロードして、これらを参考に、自サイトの利用規約や個人情報保護方針を策定する。
返品などの条件も他事例を調査しながら、整備していった。
在庫を持たない商売の方がリスクは少ないだろうという考えがあったため、卸売業者との間では、注文のFAXを送ると購入者に直送してもらうような業務フローを定めて、ここの流れもシステムに組み込んだ。
途中で、データがクリアされるというトラブルもあったが、ウェブ上に残るキャッシュから復旧させ、トータルで40時間から50時間くらいで、ECサイトができあがった。
家具屋創業
結局、一番、時間がかかったのは、ECサイトへの商品情報の登録だった。
無事にウェブサイトをオープンすることはできたのだが、アクセス数は一日あたり数10で推移し、なかなか売り上げには繋がらない。
ショッピングカートに商品が格納されても、実際に注文されるに至らないという解析データもあった。
卸売業者の方にも、こちらの条件で対応していただいている以上は、もっと売上げをあげていかないと申し訳ない。開業数日で売り上げは1件だけ。
なんらかの施策が必要な状況であった。以下、次号。
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