今だから語れる、会社に勤めながらにして家具屋を創業した話

この記事の所要時間は約 5 分 です。

副業や兼業を禁止している企業が多いのは残念なことだ。

本来は、就業時間外であれば、時間をどのように使っていようと自由なはずだ。

自由な社風を謳っていながらにして、未だに就業規則に「副業や兼業の禁止規定」がある会社は、本音では「従業員を会社に縛り付けておきたい」という考えが根底にあるのではないか。

特に、退職金がなかったり福利厚生が貧弱である一方で、「副業や兼業の禁止規定」が残っている会社などは、従業員の将来に責任を持てない一方で、従業員を会社に縛りつけようとする考えに思えてならない。(そのような会社に勤めている方がいたら、少し将来や仕事のことを真剣に考えた方がよい)

さて。

これは、私の前職時代の経験になるのだが、会社に従業員として籍を置きながら、起業にチャレンジできた実体験を語ってみたいと思う。(前職が少し特殊な環境だったので、一般の会社で同じことができるかは、事情が違うはずだ)

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背景

そもそもの背景から説明する必要があるだろう。

私の前職は、外資系のコンサルティングファームで、プロジェクト参画中はとんでもなく忙しい一方で、プロジェクトとプロジェクトの谷間の期間は、融通が利いたという事情があった。

二ヶ月間の有給休暇を取得したこともある。

なので、この谷間の期間に、自分の事業の立ち上げにかかわるコアな部分を進めることができたわけだ。(一方で、プロジェクトに参画すると立ち上げた事業に関与する時間が取れなくなるので、その対策は必要だった)

実際、あからさまな人は少なかったが、副業としてレストラン経営をしている人もいたし、地方自治体を巻き込んで、地域密着型のアパレルショップを立ち上げている人もいた。

そういう例を見るうちに、「これは自分にもできるのではないか?」と思うに至った。

そして、実践に移してみたのがネット専門の家具屋の開業であった。

インターネットで売れるものは何か

ここで述べる内容については、インターネット通販が一般的になった今では、少し事情が違うかもしれない。

2010年前後は、実物を手にとって見ることのできないインターネットで売れているものには、ある種の特徴があり、安くて、軽くて、壊れにくいものがよく売れていた。

ネットでの買い物においては、相手の顔が見えにくく、信頼性という点で不安を覚えるた顧客が多かったのだろう。高価なものより安価なものの方が売れやすいという傾向があった。

また、あまりに重いものだと、送料がかさむという事情があり、軽くて小さなものの方が売れやすいという傾向があった。

更に、これは通販全般の傾向かもしれないが、インターネット通販では顔が見えにくいという特徴から、運送中に注文した商品が壊れた場合の保証に関する不安から、壊れにくいものが売れやすかった。

当時の状況を考えると、この3つの特徴を持った商材を選ぶのが正攻法であったろうと、今更ながら、思う。

なぜ家具だったのか

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しかしながら、私が商材として選定したのは、家具だった。

これは、安価ではなく、重く、壊れやすい商品だ。

前述したように、インターネット通販の特徴を事前分析していたにも関わらず、商材として家具を選定したわけで、その理由については、今でも、うまい説明ができない。

これはインスピレーションでしかなく、店頭で見かけた組み立て式の本棚を見て、その本棚の造りに、従来の組み立て家具にはない質の良さを感じたため、それを売ってみたいと思ったからだ。(参考『愛書家の要求に耐えうる本棚の現実的な解』)

最初の一歩を踏み出そう

というわけで、組み立て式の本棚を売りたい、と考えた。

商品を売るためには、まずは、仕入れなければならない。

製造業者との間での仕入れルートの開拓方法など、そこからして、わからないわけで、たいていは思いついても、この段階で諦めたくなる。ただ、周囲に「レストラン経営者」や「アパレルショップオーナー」がいる以上は、この同僚たちは、その壁を越えたに違いなく、彼らにできたことが自分にできないはずはない、という思いもあった。

その本棚の製造メーカーのサイトには、一般客向けのページの他に、小売業者や卸売業者向けの問い合わせ先が掲載されていたので、まずは、最初の一歩として、この問い合わせ先に電話をかけてみることにした。

いきなり問い合わせをしてよいのか、いくらかは逡巡した記憶がある。

当時の職場であった「みなとみらい」の駅ビルの端に、周囲の音が気にならなさそうな一画があり、そこに赴いて電話をかけたことも覚えている。

何度かのコールの後、女性の事務員が電話を取ってくれたので、こちらの用件を伝える。

その家具メーカーの担当営業の回答は、一言で言うと、お断りの言葉だった。

丁寧な口調で以下のような内容を説明いただく。

「直取引となると口座開設や諸々の手続き、システム改修の手間がかかる」

「個人事業の方との取引は、会社として得られる利益を考えると割に合わない」

「そもそも個人事業主と取引をした実績がない」

壁を越えてみたら、次の壁が出てきた。

取引をするためには、どのくらいの売上規模が見込めればよいかを聞いてみた。

その答は、こうだった。

最低10億円規模の売上の実績がないと、直取引はしないルールになっている

さて。道は閉ざされてしまったのであろうか。

以下、次号

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