マイクロソフト流のコミュニケーション基本モデルを理解する

この記事の所要時間は約 6 分 です。

アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)

マイクロソフトでプロジェクト管理に従事していたScott Berkun氏による「the Art of Project Management」は、実践的なプロジェクトマネジメント手法が書かれているという点において、PMをテーマにした他の本とは一線を画している。

意思決定の手法やコミュニケーションのフレームワークなど、実践に活かせる考え方が紹介されているのも特徴であり、今回は、その中から、誰であっても役に立てることができそうな「コミュニケーションの基本モデル」を紹介してみたい。

コミュニケーションの基本モデル

送信、受信、理解、合意、行動というフレームワークで考えるのが、Scott Berkun流だ。

1.送信済み

相手にメッセージを発した段階。この段階においては、相手がメッセージを読むことは保証されていない。

2.受信済み

相手にメッセージを受け取った段階。この段階では、相手が内容を正しく理解したことは保証されていない。

3.理解

相手がメッセージの内容を正しく理解した段階。ただし、相手がその内容に合意しているとは限らない。

4.合意

相手がメッセージの内容に合意した段階。相手に行動を起こす義務があるとは限らない。

5.有益な行動への転換

相手が有益な行動を実際に起こしてくれた段階。この段階に到達して、ようやく、そのコミュニケーションは成功したと言える。

基本モデルを理解する効用

仕事や生活の中でのコミュニケーションの目的は、相手に何か有益な行動を起こしてもらうことであるはずだ。そのため、5つの段階における最終レベルは「有益な行動への転換」となっている。

この5つの観点でコミュニケーションに不足している部分がないかを見直すと効果的なコミュニケーションが取れるようになる。また、コミュニケーションミスがあった時に、この5つの観点で分析すると、失敗の原因を特定しやすい。

コミュニケーションの達人と言われる人たちは、意識的か無意識かに関わらず、この5つの観点で自分のコミュニケーションの状況を把握していることが多いのではないか。

基本モデルで理解するコミュニケーションの失敗例

ここからは「the Art of Project Management」ではなく、オリジナルな内容だ。私なりの解釈が加わっているため、原典の考え方を理解したい方は、直接、原典をあたっていただきたい。

「送信済み」の欠如

そもそも情報を発信できていなければ、コミュニケーションは始まらない

「受信済み」の欠如

発せられた情報を聞き手が確かに受け取っているかを確認するのは重要なことだ。例えば、メールが迷惑メールフォルダに入るとか、手紙が不達になる等は起こり得る事故だ。

大事な用件の場合は、メールを送っただけではなく、電話なりで一報を入れた方が良いと言われることがあるが、これは「受信されていない状況」に気がつかずに時間が経過してしまうリスクを避ける必要があるからだ。

「理解」の欠如

相手に発信した情報が伝わっているものの、内容が正しく理解されなった場合にも問題が起こる。

例えば、Aから依頼を受けたBが行動を起こした時に、Bの行動がAの想定と乖離しているというようなことは、実際に起こり得る話だ。

依頼内容についての「理解」が不十分なまま、「合意」がなされた場合、引き起こされる「行動」が依頼内容からずれたものになることがある。

依頼を受けた側が依頼内容を「正しく」理解できていないというリスクは想定されるべきものだ。

この「理解の欠如」を避ける為には、コミュニケーションの中で、依頼事項が正しく相手に伝わっているのかを確認するような問いを発し、相手の理解度を確かめる必要がある。

「合意」の欠如

相手への依頼がされており、相手の理解度も確認できていた場合でも、行動が起こされない場合がある。

その理由のひとつが「合意の欠如」である。Aが依頼した内容については、依頼された側のBが充分に理解していたとしても、その依頼内容の必要性を認識しておらず、合意していないかもしれない。こうした場合、「理解」はされているが、「合意」されていないという状況が起こる。

「合意の欠如」を避ける為には、コミュニケーションの中で、実際に起こすべき行動を明確にし、行動を起こすことに対するコミットを引き出す必要がある。

「有益な行動への転換」の欠如

コミットメントを引き出すことができていても、結果として、有益な行動が起こされないということがある。人間とは意思が弱いもので、約束していたとしても、その約束を果たさない可能性はある。

必ず、約束を果たしてもらう為には、定期的なリマインド(コミットメントの確認)が必要となる。また、行動を起こさせる為のモチベーションが何であるのかについても、注意を払っておく必要があるはずだ。

まとめ

「the Art of Project Management」の中のほんの一部のエッセンスから『コミュニケーションの基本モデル』について、アウトプットしてみた。

この基本モデルをしっかりと理解しておくことで、仕事におけるコミュニケーションが円滑になるばかりか、コミュニケーション不全に陥った場合の原因特定が容易になる等の効果もあるはずだ。

以下、参考書籍。

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