『本棚にもルールがある』で成毛眞が提唱する本棚の形

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本棚にもルールがある---ズバ抜けて頭がいい人はなぜ本棚にこだわるのか

本棚にもルールがある』は、動きがある本棚を作るための具体的な方法について書かれた本である。

本棚を外付けできる脳の一部だと捉え、本棚に「ゆとり」がなければ、人は成長しないと断言し、良い本棚とは、持ち主の頭の中身もアップデートしてくれる本棚だ、と主張する。

ここで言う「動きのある本棚」とは、並べられた本が、その持ち主の成長や興味の変遷に従って、入れ替わり、その結果として、持ち主を成長させる本棚のことだ。

とにかく、本は捨てずに取っておきたいという人が世の中には多いのではないか、と思うのだが、『本棚にもルールがある』で展開される「本棚に並べるのは”勝負本”のみ」という主張は、潔い。

本棚に並べる本は、多少あざとく選ばれるべきだ。本棚を見た人がどういう印象を抱くかを考慮するのだ。面接で愛読書を問われたとき、本当に好きなのはライトノベルであってもそれは口にせず、代わりにマーケティングの名著を挙げることもあるだろう。それは、自分がそういった本を読む人間だと思われたいからだ。本棚に並べるべき本とは、面接で答える愛読書だ。自分がどう見られた以下を物語る本である。

第1章「本棚は外付けできるあなたの脳である」より

成毛氏の考える理想の本棚とは

第1章では、上記のような部分も含め、著者の考える理想の本棚とはどういったものか、という概説が述べられる。すなわち、「見やすいこと」「2割の余白があること」「勝負本のみを並べる」「多様性は持たせつつ違和感を排除する」「いつも変化していること」という5つの原則だ。

正直、この5つの原則のすべてを遵守しようとすると、相当キツいことになるはずだ。

ただ、個人的には、「見やすいこと」「2割の余白があること」「勝負本のみを並べる」というあたりには、チャレンジしてみようと思った。2割の余白が確保できてさえいれば、自然と「変化する本棚」が実現されるような気がする。

「週に1回、数十分を本の整理にあてるだけでも、知的レベルが上がる」という話が載っており、そのことからも著者の成毛氏が「変化」を重要だと考えているのが分かる。

ちなみに、小飼弾氏の『本を読んだら、自分を読め』を久しぶりに読み直していたら、「本棚には隙間が必要」という話がさらりと触れられていた。

「本棚の余白」については、読書家の共通の概念なのかもしれない。

理想の本棚を実現するための具体論

第2章では、この理想の本棚の具体論が展開されるわけだが、これが、また、面白い。

成毛氏の考える理想の本棚は、3種類の本棚によって、構成される。

新鮮な本棚 買ったばかりの本、これから読む本を置いておくスペース
積読コーナーのようなものか
メインの本棚 読み終えた本を効率よく並べておく場所
勝負本に絞り、2割の余白を確保、変化する本棚
タワーの本棚 ふとした時に参照したくなる本を積んでおく本棚
辞典やハンドブックの類などを手に取りやすくする

メインの本棚について、2割の余白を確保しつつ、イマジネーションを刺激するために、「面陳」を薦めているなど、本棚を知的好奇心を刺激するためツールとして使うための仕掛けやアイデアが披露されていて、読んでいて、この2章が最も刺激的だった。

”面陳”とは、書店などで、背表紙ではなく表紙を見せて、本を陳列しているのを見ることがあると思うが、あれである。(ちなみに、『本棚にもルールがある』では、その棚のテーマにあったオブジェや標本などを陳列しておくことも推奨しており、これも”面陳”の一種という位置づけにしているようだ)

まとめ

というわけで、本棚論については、この1章と2章で、ほぼ全てなわけであるが、最終章にあたる第3章では、”いかに勝負本と出会うか”という観点で、本の探し方、読み方についての、成毛氏の自論が展開されており、これはこれで読み応えがある。

付録の「WEBで読まれる書評の書き方」や、成毛氏の勝負本を紹介する体で、30冊近い書籍についての書評が載っているのも、お得感がある。

成毛眞氏といえば、30代半ばで日本マイクロソフトの代表取締役を勤めた後、書評サイト「HONZ」を開設しており、読書家としても知られる。その成毛氏の本棚論であるからこそ、一読してみても、損はないだろうと思う。

私個人に関しても、『本棚にもルールがある』からは大きな刺激を受けた。愛書家の皆さんには、特にお薦めだ。

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